2014年06月27日
日本からオーストラリアに移住して間もない頃、波のサイズが上がりビーチでの波乗りが出来なくなると、
ポイントブレイクのバーレーヘッズ(Burleigh Heads)に通っていました。
それは、いい波を求めてというよりはチャレンジしに行ってた、という感じでしたね。
バーレーヘッズは波のサイズが上がると、とたんに潮の流れも速くなり、
常にピークに向かってパドルを続けなければいい波に乗れません。
長い時間をかけてやっとピークにたどり着いても、すでにパドル筋はパンパンに張り、
いざ自分の前に波が来ても、掘れ掘れの波に超レイトテイクオフ!
お決まりのように見事なパーリング。 波にもまれてあっという間にフリダシに戻る。
それを3回繰り返すともう限界、本日終了!
まさにサーフィン修行というか苦行!
”今日もやられてもた”
がっかりして肩を落として帰宅。
そんなある日、我慢してピークに向かってパドルをしていると、
アウトから怖そうなシニアサーファーが凄いスピードで乗ってきた。
カットバックもスピードそのままで流れるよ うに八の字を描いている。
まさしくお手本のようなカットバック!
フローするサーフィンというのかな、まったくもってリズムが違う。
そのおっさん、いや、サーファーが乗っていた板は青いカラーに黄色の蛍光色で ”Mccoy”とあった。
衝撃的でしたね。
スポンサーステッカーだらけの若い兄ちゃんにドロップインして、
「Hey!」と声を掛けられるとすぐさまカットバック。
兄ちゃんはパーリングしておっさんはそのまま乗り続けて、パドルで戻ってくる時も、
その兄ちゃんに文句言い続けてたのもショックでしたけど、、
後日、サーファーズパラダイスにあるサーフショップで、日本人スタッフにマッコイサーフボードの事を訪ねると、
「それね、マッコイというシェーパーが、バイロンベイ(Byron Bay)で削っていて、もしオーダーしたいんだったら、
マッコイの家まで連れて行ってあげるよ。
彼のポリシーで削る前に本人と面談してから削るんだ!出来上がるまですごい時間がかかるけど、、、
多分あなたが見たサーファーは”シェイン・ホラン”だろう。」
という事でした。
直ぐにオーダーしたかったんですが、当時、移民したてで若造だった僕は、生活するのに必死で、
すぐに新品のサーフボードなんか買えるはずもなく、でもいつか必ずマッコイさんに僕のサーフボードをオーダーしたい!
と心に刻みました。
それから何年経っただろう。
ある日、バイロンベイに行った時、
タウンにあるサーフショップでマッコイボードがセールで出ていたのを見つけた。
運良くカジノで大勝ちして大金を持っていた僕は迷わず衝動買い!
長さ6.4でおそらく厚みは2.7/8ぐらいあったと思う。
ずっしりと重いボードでした。
帰って早速カランビン(Currumbin)という、そこもパドル力が必要なポイントで試乗。
早い!すべてが早い!
パドルが早いし、テイクオフも早い!なんといってもスピードが違う!
取れた波の数も確実に多いし、途中でつかまらずに抜けれた数も違う!
新品ボード効果でもちろんな実りが楽しいんだけど、
それ以上に自分が本当にうまくなったような気がした!
それまでは苦行のように体力を使い、人が乗っているのを見てるだけか、
乗っても途中で波につぶされたり、
オージーのガキにドロップインされたりで幸薄かった僕が、
当時流行の薄くて細いボードよりも、
見た目は"けったい"(関西弁で変わったという良い意味)だけど、
乗れば海の中で存分に楽しめるボードを手に入れた!
これこそまさしく「目から鱗」
イケフジシンジ